ブラジルでYBR125等モデルチェンジ

昨日、ブラジル周りで騒がしいなと思ったら、一昨日モデルチェンジの発表があったらしく。以下はメディアサイトへのリンク。

Yamaha Fazer 150 UBS e Factor YBR 125i 2017 são lançadas no Brasil
Yamaha põe freios combinados na Fazer 150

2つのモデルチェンジがあって、1つは YS150 Fazer が YS150 Fazer UBS になったこと。UBS は Unified Braking System の略で、簡単に言うとコンビブレーキのようなもの。

YS150 Fazer UBS
YS150 Fazer UBS

ブレーキレバーからワイヤーが伸びていて、リアブレーキも効くようになった仕組み。

YS150_Fazer_UBS_01

もう1つのモデルチェンジは、YBR125 Factor に FI システムが搭載されたこと。

YBR125 Factor FI
YBR125 Factor FI

と記事では簡単に書いてあったけど、ブラジルで 2000年から使われ続けた YBR125 系エンジンが変わって、150cc 空冷エンジンのボアダウン版が使われている。この新しい 125cc エンジンを搭載して販売されたモデルは、他にインドの Saluto がある。Saluto は4速ギアだけど、多分このモデルは5速ギアでしょう。

そんな Saluto と 2016年モデルの YS150 Fazer とエンジンを比較してみる。

YC125-4 Saluto 2015 2LP1 India
saluto_engine
YBR125 Factor FI 2017 Brazil
Factor125_engine
YS150 Fazer 2016 1ST4 Brazil
Fazer150_engine

クランクケースまで完全な 150cc からの流用。新しい  YBR125 Factor FI には、Saluto 同様に YRCS の装着はされていない。

記事にはヤマハが発表したとあるが、ブラジルヤマハの web ページでは確認できない。写真まであるので信ぴょう性は高いのだろうけど。どこかにその情報がないかと探してみたら、意外にもブレーキパッドに新機種の名前が出ていた。

Yamaha brazil brakepad

この中に、YS150(Fazer UBS) と YBR125(FLEX) が確認できる。Fazer 150, Factor 150, Factor 125 とブレーキパッドが統一されたことになる。

Yamaha_brazil brakepad 2RP-F5805-09

ということで、出ることは確実なのでしょう。そうすると、この先を考えてしまう。まず、旧 YBR125 系のエンジンを搭載する XTZ125 もこれに続いて新しいエンジンを採用するかどうか。ブラジルでは TT-R125 も作られているので、しばらく古いエンジンは作られてそうな気がするが、エンジンの特性を考えると、新しいエンジンになる可能性も十分にある。

XTZ125 2014 21DE Brazil
XTZ125 21DE

さらにこの影響が中国の YBR125 や XTZ125 に広がることも考えられる。中国でも新しいエンジンの 150cc 版が作られているので、工場の効率を考えると、エンジンを新しくするのは自然な流れ。中国ではここ2年ほど 125cc モデルを出してない沈黙が どう破られるのか、楽しみである。

2016年7月1日追記
正式に発売されたので、YBR125 Factor FI についてを書いた。そちらも参考に。

YZF-R1の電子制御

昨日はヤマハ発動機の中から何件かアクセスがあったみたいで。ヤマハさん、応援してますよ!ということで、今日は YZF-R1 の電子制御について。


自動二輪車も電子化が進み、コンピュータで制御するようになってきた。

YZF-R1 2015 2CR
YZF-R1 2CR

最新の YZF-R1 だと、メーターは 4.2 インチの LCD で表示していて、周りの明るさに合わせて輝度が自動で変わる。ちょっとしたスマートフォンのよう。

YZF-R1 メーター表示
YZF-R1 LCD

この LCD には、GPS 機能と連動したラップタイムなどが表示できる。フルカラーなので、やろうと思えばワンセグの TV を表示したり、DVD などの動画を再生したりできるのでしょう。走りながら表示するのは危ないので、実装されることはないだろうけど。

YZF-R1 メーター表示
YZF-R1 LCD

この YZF-R1 の電子制御で肝となったのが、6軸 IMU と呼ばれるセンサで、3軸方向の加速度と角速度を検出している。

6軸「IMU」搭載による電子制御システム – ヤマハ発動機

これがその6軸 IMU の基板。

YZF-R1_IMU_board

ぐっと拡大してみると、このセンサは SCC2230-D10 という村田製作所製のもの。3軸なので3つ必要なのかと思ったけど、そうすると1つは垂直に付けないといけない。どうなっているのだろうと写真をよく見てみたら、型番は SCC2230-D10, SCC2120-D10, SCC2130-D10 の3つだった。村田製作所のページで確認すると、1つで3軸の加速度は取れるみたいだけどジャイロは1軸のみなので、X軸用、Y軸用、Z軸用で3つ必要なのか。

YZF-R1_IMU

そんなジャイロセンサはムラタセイサク君にも積まれているのでしょう。最近では、一輪車に乗ったムラタセイコちゃんもいるのだって。
この延長にヤマハの MOTOBOT があると考えると、進歩を感じる。

murataboy_typeeco

このセンサに加えて、YZF-R1 には以下のセンサが搭載されている。

・アクセルポジションセンサ
・スロットルポジションセンサ
・前輪回転センサ
・後輪回転センサ
・冷却水温度センサ
・クランクシャフトポジションセンサ
・O2センサ
・吸気温度センサ
・大気圧センサ
・吸気圧センサ
・シリンダ識別センサ
・ギアポジションセンサ

これらの情報を処理して燃料の量を調節したりするのが ECU で、ここが制御の中心となっている。

YZF-R1_ECU

ここでも写真をグッとアップにして整えると、CPU の型番が出てきた。ルネサステクノロジー製 R32C の R5F64600LFP だった。

YZF-R1_CPU

この CPU をルネサステクノロジーのページで確認すると、32bit で 48MHz の速度。ROM は 128K バイトに 8K バイトのデータフラッシュ、RAM は 12K バイトを搭載している。

自動二輪車もどんどん電子化が進んでいるので、バッテリーが無くなったから押し掛けで、と気軽にできなくなってきている。総合的には便利になっているのだろうけど、そうではない部分もどうしても出てきてしまう。それが進化なんだろうけど。