YZF-R6の年式6

今日は、以前書いた YZF-R6 の年式の続きで、2017年式以降のモデルコードが BN6 のモデルについて。ちゃんと言うと、この BN6 になってから、モデル名は YZF600 (/YZFR6) に変わってしまったため、YZF-R6 の年式かどうかは微妙なところだけど、販売名が YZF-R6 の延長ということで。

YZF-R6 2020 BN6L
YZF-R6 BN6L

YZF-R6 は2017年モデルにモデルチェンジを行い、モデルコードは BN6 が割り当てられた。ヨーロッパでの製造や、ブラジルでのノックダウン生産も行われなかった純日本産のモデルで、それだけでも日本で公道向けモデルが正式に発売されなかったのは惜しいところ。さらに惜しいことに、2020年モデルを最後に公道向けモデルが発売終了となった。その後、レースベースモデルとして発売されているものの、それまでの BN6 のモデルコードは付与せずに、別に扱っているようである。


珍しく前置きが長くなったが、YZF-R6 の2017年以降のモデル一覧を。

code name year country remarks
BN61 YZFR6H 2017 USA
BN62 YZFR6HC 2017 カリフォルニア
BN63 YZFR6AH 2017 カナダ
BN64 YZF600 2017 欧州、南アフリカ
BN65 YZF600H 2017 豪州
BN66 YZF600 2017 ロシア
BN67 YZFR6J 2018 USA
BN68 YZFR6JC 2018 カリフォルニア
BN69 YZFR6AJ 2018 カナダ
BN6A YZF600 2018 欧州、南アフリカ
BN6B YZF600J 2018 豪州
BN6C YZF600 2018 ロシア
BN6D YZF600W 2018 日本 Race base
BN6E YZFR6K 2019 USA
BN6F YZFR6KC 2019 カリフォルニア
BN6G YZFR6AK 2019 カナダ
BN6H YZF600 2019 欧州、南アフリカ
BN6J YZF600K 2019 豪州
BN6K YZF600 2019 ロシア
BN6L YZFR6L1 2020 USA
BN6M YZFR6L1C 2020 カリフォルニア
BN6N YZFR6AL 2020 カナダ
BN6P YZF600 2020 欧州、南アフリカ
BN6R YZF600L 2020 豪州
BN6S YZF600 2020 ロシア

公道向けモデルとしては、ヤマハが発売していたロードモデルの中で一番尖っていた性能をもつ YZF-R6 であったが、排出ガス規制の前に難しい選択を迫られたようである。規制に合わせてモデルで販売を継続することができたかもしれないが、R6 としてのアイデンティティの存在が脅かされてしまう。R6 が R6 であるために、公道向けモデルの発売終了となったとも言えるのである。

次回は、余裕があれば YZF-R6 (BN6) のカラー一覧に、余裕がなければヤマハが持つドメインの話でも。

プレストの事業終了その後

今日は昨年6月で事業を終了した株式会社プレストコーポレーション(以下、プレスト)についてを。
プレストが事業を終了した後、口火を切った形となって、カワサキのインポーターであるブライトも事業を終了、スズキのインポーターでありモトマップの名を使っている SPK が撤退をした。

presto corp

プレストは主にヤマハの海外モデルを輸入していた会社で、形の上ではヤマハ発動機とは資本関係がない独立した会社であった。
事業終了はかなり前の段階で、取引先には伝えられていて、一昨年末の決算公告を見ても8億円近く資産があるため、破産したり事業が急に苦しくなって廃業したというわけではない。とは言え、自動二輪車を取り巻く環境から事業終了の時期と判断したのでしょう。


なぜ、このタイミングでプレストのことを書いたかと言うと、プレストの事業終了からもう9か月も経つため。未だ web ページは残っているものの、1年も経過すると消えてしまう可能性がさらに高くなる。そのプレストの web ページにはパーツカタログが掲載されており、パーツカタログが見られるだけでなく、そのパーツカタログの PDF もダウンロードできる状態である。これまでプレストが輸入してきた歴代の YZF-R1 や、TW125, XJ6, TDM850 などかなりの数の PDF である。

TW125 Parts Catalogue

今はありがたく見ることができるが、いざパーツが欲しいと思ったときに、プレストのパーツカタログが消えていると、ヨーロッパのヤマハのパーツカタログを検索する必要がある。それに、PDF があると整備するときに気になるページだけ印刷することもできるし、ネットワークがない場所でも見ることができる。何かあったときに心強い存在である。プレストのパーツカタログが見られなくなる前に、気になる人はダウンロードしておこう。

プレストは、大型自動二輪車免許が指定自動車教習所で取得できるようになった1996年に事業を開始した。1990年に VMAX が国内で正式に発売されていたため、1996年には 750cc の排気量制限は撤廃されていたものの、100馬力制限がまだ存在していた。そんな状況なので国内向け VMAX は V ブーストが取り払われて馬力も落として発売されていた。
そこでプレストが海外向けモデルを輸入し、フルパワーの車体が手に入るようになる。所謂、逆輸入モデルと呼ばれるものである。また、XJ6 や YZF-R6 など、排気量的に日本で大量に売れないようなモデルも扱っていたりした。
その馬力上限の自主制限も2007年に終わり、国内向けでも100馬力を超えるモデルが発売されるようになった。それは逆輸入をするインポーターの存在価値が半分消えてしまったことを意味していた。さらに日本国内での自動二輪車の売り上げが下がる一方の中で、撤退は不可避だったのでしょう。

ということで、少し昔を懐かしんで書いてしまった。本当はもう1つ書こうかと思っていたこともあったのだけど、それはまたの機会にして。