トリシティ MW125

トリシティの 155cc 版が発売されるとの話だけど、今回はトリシティの MW125 125cc 版の話。

TRICITY_2CMG_A_00

MW125 トリシティのモデルコードは 2CM でちょっと珍しい。何が珍しいかというと、ABS 付きも同じ 2CM であるし、日本や欧州、タイ、メキシコなどの国で発売されているけど、やはり同じ 2CM を使っている。


年代順に並べようと思ったけど、手元にまとめたあったものがモデルコード順になっていたので、モデルコード順の一覧を。

code name year country remarks
2CM1 MW125 2014 欧州、南アフリカ
2CM2 MW125A 2015 欧州、南アフリカ
2CM3 MW125 2014 タイ
2CM4 MW125A 2015 タイ
2CM5 MW125 2014 英国
2CM6 MW125 2014 フランス、ベルギー MBK Tryptik
2CM7 MW125F 2015 豪州、ニュージーランド
2CM8 MW125 2014 タイ 50周年カラー
2CM9 MW125 2015 日本
2CMB MW125A 2015 日本
2CMC MW125A 2015 英国
2CMD MW125A 2015 フランス、ベルギー MBK Tryptik
2CME MW125AF 2015 豪州、ニュージーランド
2CMF MW125 2015 フィリピン
2CMG MW125 2015 メキシコ、韓国
2CMH MW125 2015 タイ
2CMJ MW125 2016 欧州、南アフリカ
2CMK MW125 2016 英国
2CML MW125 2016 フランス MBK Tryptik
2CMM MW125G 2016 豪州、ニュージーランド
2CMN MW125 2016 日本
2CMP MW125A 2016 欧州、南アフリカ
2CMR MW125A 2016 英国
2CMS MW125A 2016 フランス、ベルギー MBK Tryptik
2CMT MW125A 2016 日本
2CMU MW125AG 2016 豪州、ニュージーランド
2CMV MW125 2016 メキシコ、韓国
2CMW MW125 2016 フィリピン

モデルコードで Z は使わないので、2CM の残りは 2CMX と 2CMY の2つ。今年には頭に B がついた新しいモデルコードになるでしょう。MBK Tryptik と書いたのは、MBK に OEM しており Tryptik という名前で発売されているもの。

このモデルの中で特徴的なのはタイ向けとフィリピン向けで、リモコンを使ってキーシャッターを操作できるようになっていること。鍵穴にも明かりがついているし、ブザーの部品も追加されているので盗難防止装置もあるみたい。

TRICITY_2CMW_key_hole

上の写真はフィリピンのヤマハにあったもので、鍵に関する情報を掲載したくないのか、リモコンでのシャッター開閉についてまで書かれていない。シリンダー横にソレノイドコイルの部品があるので、フィリピン版にもシャッター開閉の装置は付いている筈なんだけど。

タイでのリモコンやソレノイドコイルを含めた部品番号は 2CM-H252E-40 になる。便利なので交換できないかと思うものなんだけど、鍵周りなので大変だし、メインハーネスごと替える必要があるので大作業。

南アフリカ仕様って

逆輸入車では、良く北米仕様とか南アフリカ仕様、オーストラリア仕様などを見かけたりする。以前の北米仕様は、ほとんどがカナダ仕様のことなんだけど、それにしても南アフリカ?と思ってしまう。


今日はそんな南アフリカ仕様がなぜ輸入されるのか、という話を。今回は逆輸入されていないけど、ヨーロッパ・南アフリカ向けの SR400 である 2RD1 を例にとってみる。

SR400_2RD1_A_00

この 2RD1 のプロダクションコードを見てみると、ヨーロッパ各国と南アフリカの国が描かれている。

SR400_2RD1_pcode_table

それとスロベニアが入っているが珍しいが、こんな感じで、ヨーロッパ向けと南アフリカ向けは一緒になっていることがほとんど。理由の1つがそこにある。

さらに、この中で左側通行の国は、英国、アイルランド、キプロス、南アフリカの4か国。機種によって、ヘッドライトのレンズカットが左右の通行国で異なっており、この SR400 も右側通行と左側通行の国によってレンズが異なっている。

SR400_2RD1_lens_assy

じゃ、英国仕様にすれば良いでは?となるのだが、そうならない理由が2つある。1つは、上記の国の中で唯一、制限速度がマイル表記の国だからである。スピードメータの部品を見てみる。

SR400_2RD1_speed_metre

このマイル表示は USA でも使われているので、北米仕様として日本に入ってきているのはカナダ仕様が多い理由にもなる。と言っても、最近はデジタルメータを採用することが多く、ボタンで km/h と m/h を切り替えできるようになってきている。

今回の場合だと、アイルランド向け、キプロス向け、南アフリカ向けが左側通行用のヘッドライトで、メータが km/h 表示になる。じゃ、アイルランド向けが輸入されても良いのじゃない?と思うのだけど、もう1つの理由があって、あまり現実的ではない。ヨーロッパから日本まで輸送するには、スエズ運河を通るか南アフリカのアガラス岬を経由することになる。

sea_route_from_eu

スエズ運河を通るには船のサイズが限られ、さらに通行料が必要。ソマリア沖やマラッカ海峡を通ることで保険料も高くなる。わざわざ輸送料が高いヨーロッパからではなく、南アフリカから輸入した方が有利となる。

そんな理由から、ヨーロッパ向けとほとんど同じ「南アフリカ仕様」が日本に入ってくる状況である。北極海航路の様子によっては、これが変わってくるかもしれない。