「YZF-R1」タグアーカイブ

YZF-R1の電子制御

昨日はヤマハ発動機の中から何件かアクセスがあったみたいで。ヤマハさん、応援してますよ!ということで、今日は YZF-R1 の電子制御について。


自動二輪車も電子化が進み、コンピュータで制御するようになってきた。

YZF-R1 2015 2CR
YZF-R1 2CR

最新の YZF-R1 だと、メーターは 4.2 インチの LCD で表示していて、周りの明るさに合わせて輝度が自動で変わる。ちょっとしたスマートフォンのよう。

YZF-R1 メーター表示
YZF-R1 LCD

この LCD には、GPS 機能と連動したラップタイムなどが表示できる。フルカラーなので、やろうと思えばワンセグの TV を表示したり、DVD などの動画を再生したりできるのでしょう。走りながら表示するのは危ないので、実装されることはないだろうけど。

YZF-R1 メーター表示
YZF-R1 LCD

この YZF-R1 の電子制御で肝となったのが、6軸 IMU と呼ばれるセンサで、3軸方向の加速度と角速度を検出している。

6軸「IMU」搭載による電子制御システム – ヤマハ発動機

これがその6軸 IMU の基板。

YZF-R1_IMU_board

ぐっと拡大してみると、このセンサは SCC2230-D10 という村田製作所製のもの。3軸なので3つ必要なのかと思ったけど、そうすると1つは垂直に付けないといけない。どうなっているのだろうと写真をよく見てみたら、型番は SCC2230-D10, SCC2120-D10, SCC2130-D10 の3つだった。村田製作所のページで確認すると、1つで3軸の加速度は取れるみたいだけどジャイロは1軸のみなので、X軸用、Y軸用、Z軸用で3つ必要なのか。

YZF-R1_IMU

そんなジャイロセンサはムラタセイサク君にも積まれているのでしょう。最近では、一輪車に乗ったムラタセイコちゃんもいるのだって。
この延長にヤマハの MOTOBOT があると考えると、進歩を感じる。

murataboy_typeeco

このセンサに加えて、YZF-R1 には以下のセンサが搭載されている。

・アクセルポジションセンサ
・スロットルポジションセンサ
・前輪回転センサ
・後輪回転センサ
・冷却水温度センサ
・クランクシャフトポジションセンサ
・O2センサ
・吸気温度センサ
・大気圧センサ
・吸気圧センサ
・シリンダ識別センサ
・ギアポジションセンサ

これらの情報を処理して燃料の量を調節したりするのが ECU で、ここが制御の中心となっている。

YZF-R1_ECU

ここでも写真をグッとアップにして整えると、CPU の型番が出てきた。ルネサステクノロジー製 R32C の R5F64600LFP だった。

YZF-R1_CPU

この CPU をルネサステクノロジーのページで確認すると、32bit で 48MHz の速度。ROM は 128K バイトに 8K バイトのデータフラッシュ、RAM は 12K バイトを搭載している。

自動二輪車もどんどん電子化が進んでいるので、バッテリーが無くなったから押し掛けで、と気軽にできなくなってきている。総合的には便利になっているのだろうけど、そうではない部分もどうしても出てきてしまう。それが進化なんだろうけど。

R1のタイヤ左右

先日、古い YZF-R1 のパーツカタログがあったので、眺めていた。

YZF-R1_5VYE_A_00

YZF-R1 のタイヤは年式によって DUNLOP, MICHELIN, BRIDGESTONE, PIRELLI があるのだけど、5VYE/5VYF/5VYR/5VYS のパーツカタログのイラストには、こんなことが描いてあった。

1E5VY300E1_fig32_00

英国とアイルランドと南アフリカは DUNLOP で、それ以外は MICHELIN とある。つまり、左側走行の国は DUNLOP を採用し、右側走行の国は MICHELIN を採用していることになる。前年のパーツカタログでは、英国、イタリア、アイルランド、南アフリカが DUNLOP なので、走行車線によってタイヤが異なるというのは無い気もするが。


やっぱり気になったので MICHELIN と DUNLOP と BRIDGESTONE に訊いてみることにした。PIRELLI に聞かなかったのは、今後 PIRELLI のタイヤを買わない気がしたので。

MICHELIN への質問

YZF-R1 欧州向け(5VYE)のパーツカタログを眺めると、純正タイヤでは、
英国、アイルランド、南アフリカ – DUNLOP
それ以外の国 – MICHELIN
とあります。

YZF-R1 のタイヤ限定ではなく、一般的な自動二輪車用タイヤについてで質問なのですが、右車線走行国向けと左車線走行国向けでは、タイヤパターンなど何かしら異なることがあるのでしょうか。
・全てのタイヤで異なっている
・タイヤによって異なることがある
・全てのタイヤで走行車線での区別はない
どれになるのか、教えてください。もし区別があるのでしたら、タイヤを見て判断する方法を教えてください。

続けて、DUNLOP への質問はこうなった。

DUNLOP への質問

YZF-R1 のタイヤ限定ではなく、一般的な自動二輪車用タイヤについてで質問なのですが、右車線走行国向けと左車線走行国向けでは、タイヤパターンなど何かしら異なることがあるのでしょうか。
・全てのタイヤで異なっている
・タイヤによって異なることがある
・全てのタイヤで走行車線での区別はない
どれになるのか、教えてください。
もし区別があるのでしたら、タイヤを見て判断する方法を教えてください。

なぜ前半部分を省いたかと言うと、200文字の制限があるとか文句を言われたので。

dunlop_form

多分、彼らは自分達でこのシステムを使ったことがないか、ユーザからの質問を軽視しているのでしょう。おかげで少し変な文になった。
最後に、BRIDGESTONE への質問。

BRIDGESTONE への質問

YZF-R1 欧州向けのパーツカタログを眺めると、純正タイヤでは右車線走行国と左車線走行国で採用しているタイヤメーカが異なっていることがあります。

YZF-R1 のタイヤ限定ではなく、一般的な自動二輪車用タイヤについてで質問なのですが、右車線走行国向けと左車線走行国向けでは、タイヤパターンなど何かしら異なることがあるのでしょうか。
・全てのタイヤで異なっている
・タイヤによって異なることがある
・全てのタイヤで走行車線での区別はない
どれになるのか、教えてください。
もし区別があるのでしたら、タイヤを見て判断する方法を教えてください。

ちょっと気を使って、他社の名前はあげないでおいた。

上記の質問を2016年6月9日の9:10から9:12にかけて3社に送信した。それぞれの会社の回答日時は、以下のようになった。

MICHELIN 2016年6月9日 13:31
DUNLOP 未だ回答なし
BRIDGESTONE 2016年6月9日 11:53

MICHELIN と BRIDGESTONE からの回答内容を見てみる。回答からの抜粋。

MICHELIN からの回答(抜粋)
早速にお問い合わせの件でございますが、弊社モーターサイクル用タイヤに右車線走行国向け、左車線走行国向けと云った区別はございません。
同一銘柄、同一タイヤ規格(ラジアル/バイアス・サイズ・ロードインデックス・速度記号など・・・)であれば全て同じ仕様の製品でございます。
BRIDGESTONE からの回答(抜粋)
弊社の、モーターサイクル用タイヤは、出荷国の右側通行、左側通行により、
タイヤパターン、構造などが異なる事はございません。

と言うことで、違いがないそうである。

今回の件で、質問フォームの文字数制限や、返信が無いことで DUNLOP の株がだいぶ下がった。今後 BRIDGESTONE と DUNLOP のタイヤで迷ったら、間違いなく BRIDGESTONE のタイヤを買うでしょう。

日本ミシュランタイヤ株式会社のお客様相談室の方、株式会社ブリヂストンのお客様相談室の方、ありがとうございました。