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ヤマハ発動機の工場閉鎖など

今日は、ヤマハ発動機の工場閉鎖の話などを。

国内では、自動二輪車の需要が冷え込んでいて、XT250 SEROW に続いて SR400 もファイナルエディションの運びとなった。売れているモデルではあっても、多くの規制の前に発売継続が断念された形である。国内でも海外でも、規制の波が押し寄せてきている。

SR400 B9F5 [SR400 Final Edition limited]
SR400 B9F5

羽束師や二俣川、平針、菊陽など、地名ではあるものの、その都道府県に住んでいる人には違う意味を持つ場所がある。静岡県西部の人には、「小松」や「浜北」で通じるその場所近くに、ヤマハの浜北工場がある。ヤマハ発動機創業の地であり、創業の1955年から1972年まで本社があった場所である。


2021年2月12日に、その由緒ある浜北工場が2024年中までに閉鎖となると発表があった。

2024年中までに浜北工場は閉鎖して磐田市本社工場に集約、中瀬工場でも二輪車製造機能を磐田市本社工場に再配置する。
JOG や VINO の 50cc はホンダ製になり、125cc クラスのスクーターは台湾製、YZF-R25 などの軽二輪もインドネシア製で、XT250 SEROW や SR400 が規制の影響で発売終了となると、これまでと同じ規模を維持することが難しいのは容易に想像ができる。日本では自動二輪車が売れないのもあって、もう日本で自動二輪車を作るメリットがなくなった感じである。

海外に目を向けると、ヤマハ発動機の子会社ヤマハモーターヨーロッパのグループ会社であるイタリアのモトーリ・ミナレリが、ファンティックへ譲渡されると2020年10月に発表があった。

motori minarelli

ミナレリでは主に小排気量のエンジンを製作していて、そのエンジンはファンティックを含む別の会社にも供給していた。

一部報道では、ヤマハはミナレリを譲渡して、エンジンはインドネシアヤマハから調達するとあるが、どうやらその先も見据えているようである。それが、2030年から各国で始まる内燃機関を使った新車の販売禁止の規制である。2030年からはドイツや UK 、北欧の国で内燃機関を使った新車が発売禁止となり、2035年にはさらに国が増えていく。そんなことが迫っている中で、内燃機関を製造している工場を手放して、電動化にシフトしていく布石となっている。

それを体現しているかのように、ヤマハ発動機は2021年3月に入って、自動二輪車向けなどの交換式バッテリーコンソーシアムの創設に合意している。ホンダのニュースリリースへのリンクで申し訳ないが、ホンダでも同様に発表している。

欧州での電動二輪車および小型電動モビリティを対象とした交換式バッテリーコンソーシアムの創設に合意

ここに書かれているように、このコンソーシアムでは、KTM と Piaggio とホンダとヤマハが加わって創設している。と書くと4社かと思うのだけど、Piaggio のブランドには、
・ピアッジオ
・アプリリア
・デルビ
・ジレラ
・モト・グッツィ
・ベスパ
・リジェ
が含まれるので、この4社でのヨーロッパの小排気量はかなりの割合を占めることになる。

PC の分野では Windows95 の登場と共に、DOS/V と呼ばれる規格の元で多くの会社が PC の製造販売に加わった。それが今となっては、それ以前から PC を製造していた IBM でさえ PC 製造販売を手放している状況である。その後、スマートフォンブームと共に、同じように各社から端末が発売された。そして、日本でスマートフォンを製造しているメーカーはいつの間にか淘汰され、過去の遺物となってきている。

2030年から始まる内燃機関を使った新車販売の禁止で、多くの会社が電動自動二輪車への参入をしてくるのではないかと予想する。現に、自動車ではテスラなどの会社が出てきている。これまで栄華を誇ってきたこれまでの自動二輪車メーカーは、その先に残ることができるか、ここ20年が勝負となる。そう思うと、工場の閉鎖や譲渡は、その一歩なのかなと思ってくる。