「モデル研究」カテゴリーアーカイブ

Bから始まるモデルコード

今日はちょっと趣を変えて、ヤマハ発動機で使っているモデルコードの話を。

XC115 2014 B201 [RAY-Z]
XC115 B201

ヤマハ発動機が使っている自動二輪車向けモデルコードは、1960年から1~5で始まるものを使っていた。途中、アルファベットを入れるようになったりと変更があったが、2013年まで1~5のルールは継続されていた。他にも船外機は6から始まったり、スノーモービルは8から始まるものを使っているが、ここでは割愛して。このモデルコードがとうとう足りなくなり、2014年から頭にBを入れるようになる。


私が調べた限り最初にBを入れた機種は、2014年の1月に発売された

・台湾向け TMAX(B231/B233)
・メキシコ向け RAY-Z(B201)
・アンゴラとエジプト向け RAY(B191)

のどれかのようである。台湾向け TMAX B231/B233 は2013年の11月に発表されている。間に入る B232 は2014年7月に発売された日本向け TMAX (BLACK MAX) で、そのことを考えると設計段階ではもっと先に使われている機種があるのかもしれない。

XP500 2014 B233 [TMAX (BRONZE MAX)]
XP500 B233

気が付けば2017年の北米向け YZF-R3 に BY91/BY92 が振られており、すでに BY まできている。モデルコードに Z は使わないので、最後の文字まで使い出したことになる。
モデルコードの2桁目と3桁目に使われる文字は、数字と I, O, Q, Z を除いたアルファベット22文字である。Bから始まるモデルコードは、単純に計算して32の二乗で1024ある。

YZF-R3 2017 BY91
YZF-R3 BY91

そこで疑問が浮かぶ。BY までのモデルコードを全て使い切ってしまったのか、それとも歯抜けの状態なのか。と言うことで、B で始まるモデルコードの割り当て状況を確認してみることにした。

   2014年
2015年
2016年
2017年
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F G H J K L M N P R S T U V W X Y
B0
B1
B2
B3
B4
B5
B6
B7
B8
B9
BA
BB
BC
BD
BE
BF
BG
BH
BJ
BK
BL
BM
BN
BP
BR
BS
BT
BU
BV
BW
BX
BY

表を作ってわかったことは、まず歯抜けなことがわかった。そして3桁目は数字から割り当てている。2017年モデルからは3桁目にアルファベットを振り始めた。かなりランダムに見えるけど、排気量とか製造国を入れるとひょっとしたら規則性が見えてくるかもしれない。時間があったら、表に入れてみたい。

現在 B から始まるモデルコードはざっと数えて181 使われている。このペースで行くと2025年ぐらいに B から始まるモデルコードは無くなってしまいそうである。しかし、東南アジアの経済が不透明なので、もっと早くなくなるかもしれないし、逆もありうる。次は何の文字を使ってくるのか、2020年ぐらいになったら予想をしようかな。

ヨーロッパのDelightがLTS125に

昨日の AG125 のパーツカタログを見てみたときに気が付いたのだけど、いつの間にかヨーロッパ向けの D’elight がモデルチェンジしていた。

LTS125-C 2017 BW51 [D’elight]
LTS125-C BW51

プレスリリースもなく、気が付いたら排気量が上がってデザインも変わってしまった。MBK 扱いでも同様に FLIPPER が新しくなっている。


正確に言うとモデルチェンジか微妙なところなのだけど、FILANO/NOZZA ベースの XC115S だったものが、ACRUZO ベースの LTS125 になった。LTS125 は先日日本でも発表されたアクシスZと同じモデル名で、リア回りなどは共通である。

いつものように、モデルコード一覧を。せっかくなので、これまで発売されている LTS125 を揃えてみる。

code name year country made in pet name
2TD1 LTS125 2016 ベトナム ベトナム ACRUZO
2TD2 LTS125-F 2016 ベトナム ベトナム ACRUZO
2TS1 LTS125 2016 台湾 台湾 AXIS Z
2TS2 LTS125A 2016 台湾 台湾 AXIS Z
2TD3 LTS125 2017 ベトナム ベトナム ACRUZO
2TD3 LTS125-F 2017 ベトナム ベトナム ACRUZO
B7A1 LTS125 2017 日本 台湾 AXIS Z
BW51 LTS125-C 2017 ヨーロッパ、
南アフリカ
ベトナム D’elight
BW52 LTS125-C 2017 フランス、
ベルギー
ベトナム FLIPPER
(MBK扱い)

このヨーロッパ向け D’elight はベトナム製造のようで、ACRUZO をそのままもってきている感じ。D’elight と ACRUZO と比較してみる。

LTS125-F 2016 2TD2 [ACRUZO]
LTS125-C 2017 BW51 [D’elight]

ACRUZO と同じようにフロントタイヤが12インチで、リアタイヤが10インチになっている。日本向けのアクシスZにこのフロント12インチのタイヤとフォークが付くのかフレームを見比べてみたけど、簡単には無理そう。ヨーロッパの D’elight と日本のアクシスZをアニメーションで比較できるようにしてみた。

B7A1[AXIS Z] – BW51[D’elight]
AXIS Z - Delight

向きが微妙に違うけど、シートがだいぶ高いのがわかる。
せっかくなので、LTS125 であるベトナムの ACRUZO と、日本のアクシスZと諸元を比較してみる。

model LTS125-C LTS125 LTS125
pet name D’elight ACRUZO AXIS Z
code BW51 2TD1 B7A1
欧州等 ベトナム 日本
年式 2017年 2016年 2017年
全長 1805 mm 1805 mm 1790 mm
全幅 685 mm 685 mm 730 mm
全高 1145 mm 1145 mm 1145 mm
シート高 800 mm 785 mm 770 mm
軸間距離 1275 mm 1275 mm 1275 mm
装備重量 99 kg 99 kg 100 kg
燃料容量 5.5 l 5.5 l 5.5 l
前輪 90/90-12 90/90-12 100/90-10
後輪 100/90-10 100/90-10 100/90-10
B×S 52.4×57.9 52.4×57.9 52.4×57.9
圧縮比 11.0 : 1 11.0 : 1 11.0 : 1
馬力 6.2 kW 6.1 kW 6.0 kW
トルク 9.8 Nm 9.7 Nm 9.7 Nm

ヨーロッパモデルとベトナムモデルの馬力差はどこからのものか調べると、駆動系は同じようなのだけど、インジェクタ・マフラー・ECU が違うのでそこで差を出しているようである。

ベトナム向け ACRUZO のメットインの写真と、ヨーロッパ向け D’elight のメットインの写真とを見ると、国民性が出てるなと感じてしまった。

ACRUZO のメットイン写真
LTS125 2TD2 メットイン
D’elight のメットイン写真
LTS125 BW51 メットイン

ふと考えると、アクシスも日本製から台湾製に、そして世界モデルになったんだなと感心してしまう。これから D’elight がヨーロッパでどんな評価をされるのか、楽しみである。