逆輸入車では、良く北米仕様とか南アフリカ仕様、オーストラリア仕様などを見かけたりする。以前の北米仕様は、ほとんどがカナダ仕様のことなんだけど、それにしても南アフリカ?と思ってしまう。
今日はそんな南アフリカ仕様がなぜ輸入されるのか、という話を。今回は逆輸入されていないけど、ヨーロッパ・南アフリカ向けの SR400 である 2RD1 を例にとってみる。
この 2RD1 のプロダクションコードを見てみると、ヨーロッパ各国と南アフリカの国が描かれている。
それとスロベニアが入っているが珍しいが、こんな感じで、ヨーロッパ向けと南アフリカ向けは一緒になっていることがほとんど。理由の1つがそこにある。
さらに、この中で左側通行の国は、英国、アイルランド、キプロス、南アフリカの4か国。機種によって、ヘッドライトのレンズカットが左右の通行国で異なっており、この SR400 も右側通行と左側通行の国によってレンズが異なっている。
じゃ、英国仕様にすれば良いでは?となるのだが、そうならない理由が2つある。1つは、上記の国の中で唯一、制限速度がマイル表記の国だからである。スピードメータの部品を見てみる。
このマイル表示は USA でも使われているので、北米仕様として日本に入ってきているのはカナダ仕様が多い理由にもなる。と言っても、最近はデジタルメータを採用することが多く、ボタンで km/h と m/h を切り替えできるようになってきている。
今回の場合だと、アイルランド向け、キプロス向け、南アフリカ向けが左側通行用のヘッドライトで、メータが km/h 表示になる。じゃ、アイルランド向けが輸入されても良いのじゃない?と思うのだけど、もう1つの理由があって、あまり現実的ではない。ヨーロッパから日本まで輸送するには、スエズ運河を通るか南アフリカのアガラス岬を経由することになる。
スエズ運河を通るには船のサイズが限られ、さらに通行料が必要。ソマリア沖やマラッカ海峡を通ることで保険料も高くなる。わざわざ輸送料が高いヨーロッパからではなく、南アフリカから輸入した方が有利となる。
そんな理由から、ヨーロッパ向けとほとんど同じ「南アフリカ仕様」が日本に入ってくる状況である。北極海航路の様子によっては、これが変わってくるかもしれない。