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XTZ690 Tenere 700 日本で発売

XTZ690 [Tenere 700] の日本での発売は、6月5日の予定だったが7月31日に変更された。なのだけど、既に納車された人もちらほらといるようで、発売日については曖昧になっているようである。もう出回っているということで、今日はモデルコードなどを含めた XTZ690 [Tenere 700] の情報などを。

XTZ690 2020 BAU4 [Tenere 700]
XTZ690 BAU4

前身の XT660Z [Tenere] は日本で正式発売されなかったため、この XTZ690 [Tenere 700] も日本で発売されないかもと心配をしていたが、日本でも正式発売されることになった。大きな波ではないものの Adventure タイプの流行や、プレストの終了が後押ししたようである。


日本向けの XTZ690 [Tenere 700] には BAU4 のモデルコードが割り当てられた。ヨーロッパやオーストラリア向けは BW3 が振られているので、新たに振り出したことになる。発売されている XTZ690 のモデルコード一覧は以下の通り。

code name year country remarks
BW31 XTZ690 2020 欧州
BW32 XTZ690-U 2020 欧州 A2 ライセンス向け
BW33 XTZ690P-B 2020 欧州 Police 向け?
BW34 XTZ690 2020 豪州、
ニュージーランド
BW35 XTZ690D-B 2020 欧州 Rally Edition
BAU1 XTZ7M 2020 USA
BAU2 XTZ7MC 2020 カリフォルニア
BAU3 XTZ07AM 2020 カナダ
BAU4 XTZ690 2020 日本
BFF1 XTZ690 2020 タイ

BW31 については当初2019年扱いだったものの、ヨーロッパでの YPEC では2020年扱いになったため、2020年としている。同様に、北米向けは2021年モデルと記述があるが、ヤマハの資料では2020年モデルとなっているため、2020年とした。

BW3 はフランスの MBK 工場製、BAU は日本製、タイ向けの BFF1 については製造国を確認できなかった。そろそろインドネシア工場でも MT-07 の生産体制が整ってくる時期なので、タイ向けについてはインドネシア製造の可能性もある。

日本向けの XTZ690 の値段を最初に見たときに、ちょっと高いかなと感じた。欧州での値段からもう少し安い予想をしていたからである。MT-07 の値段が1としたら、XTZ690 の値段はどうなるのか、各国で比較をしてみる。

MT-07 価格 XTZ690 価格 MT-07 を1として
UK 6697 ポンド 9147 ポンド 1.37
フランス 7099 ユーロ 9699 ユーロ 1.37
オーストラリア 12599 AUD 17299 AUD 1.37
USA 7599 USD 9999 USD 1.32
カナダ 8499 CAD 12399 CAD 1.46
タイ 299000 バーツ 439000 バーツ 1.47
日本 792000 円 1265000 円 1.60

やはり、MT-07 の価格と比べると、日本だけ突出して高い。予想した値段よりも高く感じたのは、そのためでしょう。この値段の高さは、何か装備を追加したためのものか、売上台数に起因するところなのか。ざっと装備を眺めてみたが、他国との大きな差異は見つからないので、後者のようである。

その他、各国向けの違いを探してみたが、特に大きな違いはなく、気になったのはガソリン指定ぐらい。ヨーロッパとオーストラリア向け BW3 については、ガソリン指定がプレミアムとなっており、それ以外の国向けではレギュラーである。この辺りはそれぞれの国の事情もあるが、世界を旅するライダーにとってはレギュラー指定である方が安心してどこの国でも給油ができるという大きなメリットとなる。

XTZ690 Tenere 日本向けの排気量

ちょっと更新に時間が空いてしまったが、今日は日本向けの排気量についてを。
本当は XTZ690 [Tenere] の日本向け発売が延期になったことを含めて書こうと思っていた。

XTZ690 2020 BAU4 [Tenere]
XTZ690 BAU4 Tenere

その XTZ690 [Tenere] の諸元を確認していたときに、気になるとこを見つけた。今日の始まりは、そこから。


何が気になったかと言うと、排気量である。日本向け XTZ690 [Tenere] の諸元では。

XTZ690 Tenere 諸元

と排気量が 688cm3 とあるからである。他の国、例えばヤマハオーストラリアでの XTZ690 [Tenere] の紹介では、こう書かれている。

XTZ690 Tenere オーストラリアでの特徴

排気量が 689cm3 なのである。1cm3 はどこいってしまったの?と疑問に感じて。その流れでヤマハオーストラリアでのボア×ストロークも確認すると。

XTZ690 Tenere オーストラリアでの諸元

日本向けはストロークが 68.5mm なのに、オーストラリアを含めた他の国では 68.6mm となっている。数値上では日本向けはストロークダウンしていて、この影響で排気量が 1cm3 少なくなっているようである。
これは実際にストロークが短いのか、それとも単なる実測値の端数処理の違いなのか。クランクが違っているかの確認をしようと思ったが、XTZ690 [Tenere] の日本向けパーツカタログがまだ出ていないので、確認がとれない。そこで、同じ系統のエンジンを搭載している MTN690 [MT-07] だとどうなっているのか見てみた。

MTN690 MT-07 諸元

XTZ690 と同じく 688cm3 となっている。そして、XTZ690 と同様に、日本以外の国では 689cm3 である。そこで、日本向けとヨーロッパ向け MTN690 [MT-07] のクランク、さらに念のためシリンダーとピストンの部品を比較してみた。結果、全てパーツ番号が同じであった。

ということで、一旦今日の結論を。

日本向け XTZ690 や MTN690 では排気量やストローク長が他の国向けより小さい値で表記されているが、実際は同じ

→端数処理や表記上のルールが違うため、異なっている

この端数処理や表記での違いについて、ISO 80000-1 や JIS Z 8401 や JIS B 8003 などを眺めてみたが、よくわからなかった。
そこで、日本の車検証に記載される排気量について調べてみる。例えば、車検証では排気量はリットルで表記され、小数3位目は切り捨てされた数値となるため、398cm3 でも 0.39ℓと記載される。この理由を調べてみると、独立行政法人自動車技術総合機構の資料が見つかった。

独立行政法人 自動車技術総合機構 審査事務規程 第5章 自動車の検査等に係る審査結果の通知方法

この資料の「5-3-13 総排気量又は定格出力」に以下の記載がある。

総排気量は、単位をℓとし、小数第2位(小数第3位切り捨て)まで通知するものとする。
ただし、二輪自動車及び側車付二輪自動車でその総排気量が0.251ℓから0.259ℓまでのもの及び二輪自動車及び側車付二輪自動車以外の自動車で総排気量が0.661ℓから0.669ℓまでのものにあっては、それぞれ0.26ℓ及び0.67ℓとする。

小数第3位で切り捨てしているが、車両の区分が変わる排気量帯では例外がある。知らなかった。上記の記載の続きで、総排気量の算出についても記載されている。

この場合において、総排気量を算出する必要があるときは、円周率を3.14とし、内径及び行程については、単位をmmとし、小数第1位(小数第2位切り捨て)までの値とする。

この記述にあるように、行程(ストローク)を小数第2位で切り捨てしたため他国よりも小さくなり、加えて円周率として3.14と省略値を使ったために排気量も小さくなった、と今のところ推論しておくことに。