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まだ作っている意外なモデル(2020年版)

年末に〇年モデル一覧という記事を書いたときにも触れていたりするが、今日はまだ製造販売していたの?という意外なモデルを紹介しようかと。

XV250P 4TN
XV250P 4TN

古い自動二輪車のオーナーにとって、「まだ製造している」ということはかなり重要なことで、製造しているということは純正部品の新品が入手できるということである。重要部品が手に入らなくて泣く泣く廃車した人を見かけたことがあるが、少なくともそれが無く安心して乗ることができる。


今日は思いつきで、まだ作っているモデルを8つほどピックアップする。

■ XV250 [Virago, V-STAR]

XV250L1 46BV

日本では1996年の 3DMF を最後に発売が終わってしまったが、USA やカナダではまだ現役で発売されている。また、南米やアフリカ向けのポリス向けも継続発売されており、2020年モデルの XV250P 4TN6 が発売されている。

■ TW200

TW200L1 B75G

日本では2002年に TW200 の後継 TW225 が発売され、その TW225 も2007年モデルが最後となった。一時期は毎日のように見かけたが、最近ではめっきり見ることも少なくなってきている。しかし、北米では現在も TW200 のまま30年以上継続発売されている。

■ WR250R

WR25RL 2CFN

日本では良い状態の中古車にプレミア価格が付くほどになってしまったが、WR250 もオーストラリアや北米ではまだ発売している。一部の業者が輸入販売しているが、その価格もかなり強気なため、発売中に買っておけば良かったと漏らす人も多いようである。

■ AG200

AG200FE BP21

AG100 は AG125 にとって代わられたが、AG200 はまだ現役である。南米、アフリカ、オセアニアで発売されており、特に ATV が苦手な起伏の大きな場所で活躍している。クラッチロックや右サイドスタンドなど、他にはない魅力的な装備があるので、他のモデルにも付けて欲しい。

■ DT125

DT125 3TTL

空冷時代の DT125 が未だ発売されており、ヤマハの web ページにも掲載されている。
DT125/175 – International Cooperation
2020年モデルとして、DT125 3TTU が発売されており、AG100 が無くなってしまった今、日本のヤマハが製造する最後の2サイクルのモデルの1つである。

■ DT175

DT175 3TSU

こちらも DT125 と同様に空冷2サイクルで、主にアフリカなどの第三世界向けに発売されており、2020年モデルとして、DT175 B6E4 が出ている。農耕向けは販売店で入手ができるため、AG100 などは一部業者が輸入していたものの、DT125 / DT175 は政府機関や NGO 向けとなっており、発売地が遠いこともあって日本では入手が難しい状況である。

■ XJ900

XJ900P 5JD

え?まだ XJ900 は発売しているの?と驚く人もいるかもしれないが、メキシコでポリス向けが継続発売されている。2020年も XJ900P 5JDU が出ており、エンジンは空冷のまま変わらずの姿である。

■ XJ6

XJ6SAP 1PW

XJ6 はブラジルで2019年まで発売されていた。さらにポリス向け XJ6SAP も現役で、2020年モデルではメキシコ、サウジアラビア、南アフリカで発売されている。XJ900P のように、XJ6SAP も暫くは継続製造されそうである。

上記に挙げたモデルが何故未だ発売されているかを分類してみると、
・北米向けの継続発売
・第三世界向け
・農耕向け
・ポリス車両向け
のように分けられる。特に特殊用途向けは、長く発売される傾向にある。

MWD300 Tricity 300 の発売

今日はヨーロッパで発売された MWD300 [Tricity 300] のことを。
MWD300 [Tricity 300] は、昨年11月に EICMA で発表され、ヨーロッパでは2月に発売された。この COVID-19 の騒ぎを考えると、かなりタイミングの悪い発売時期となる。

MWD300 2020 BX91 [Tricity 300]
MWD300 BX91

MWD300 には XMAX 300 のパワートレインを流用して 292cc のエンジンを搭載しており、ヨーロッパでは B ライセンス(普通自動車の免許)で乗れるように作られている。まだオーストラリアなどのヤマハの web ページには掲載されていないものの、オセアニア向けも発売予定となっている。


MWD300 [Tricity 300] にはモデルコードは BX9 が割り当てられ、確認できているのは、ヨーロッパ・南アフリカ向け、UK 向け、オーストラリア・ニュージーランド向けの3つ。そのモデルコード一覧を。

code name year country remarks
BX91 MWD300 2020 欧州、南アフリカ
BX94 MWD300 2020 UK
BX95 MWD300L 2020 豪州、ニュージーランド

BX92 と BX93 が空いているのが気になるところで、XMAX 300 がカリフォルニア州向けとそれ以外の州向けで別れていないため、北米向けが入ってくる可能性もある。UK 向けについては、何故かパーツカタログの準備が遅れているようで、UK ヤマハからの web 版のパーツカタログでもまだ確認ができない。

ヨーロッパ・南アフリカ向けと、オーストラリア・ニュージーランド向けの大きな違いがフットブレーキが付いているかどうかである。どちらもパーキングブレーキは別途装備しているが、オーストラリア・ニュージーランド向けではフットブレーキが省略されている。このフットブレーキは、ヨーロッパの B ライセンス(普通自動車の免許)で乗れるように付けられた装備のため、オーストラリアなどでは不要であり外された。これにより多少の軽量化にもなっている。

ヨーロッパではオプションパッケージとして、SPORT PACK, URBAN PACK, WINTER PACK の3つを発売している。季節や行き先に合わせて変えるのも面白そうである。

MWD300 [Tricity 300] SPORT PACK
MWD300 SPORT PACK
MWD300 [Tricity 300] URBAN PACK
MWD300 URBAN PACK
MWD300 [Tricity 300] WINTER PACK
MWD300 WINTER PACK

先に書いたように、エンジンなどは XMAX 300 からの流用である。車体周りと、エンジン・駆動系周りを中心に比較してみる。

code BX41 BY37
model MWD300 CZD300-A
pet name Tricity 300 XMAX 300
欧州 欧州
年式 2020 2020
全長 2250 mm 2185 mm
全幅 815 mm 775 mm
全高 1470 mm 1415 mm
軸距 1595 mm 1540 mm
最低地上高 130 mm 135 mm
最小回転半径 3.2 m 2.6 m
装備重量 239 kg 179 kg
排気量 292 cc 292 cc
内径×行程 70.0×75.9 mm 70.0×75.9 mm
馬力 20.6 kW 20.6 kW
トルク 29.0 Nm 29.0 Nm
1次減速比量 1.000 1.000
変速比 2.386-0.746 :1 2.386-0.746 :1
2次減速比 7.590 7.590

車体が 60kg 重くなったことはかなり大きいものの、エンジンや減速比は XMAX 300 と全く同じとなっている。この重量と前輪タイヤがどのぐらい燃費に影響があるのか興味深いところである。

この MWD300 [Tricity 300] が日本で発売されるのか、それとも MWD250 となるのか、しばらく注視していきたいと思う。