「モデル識別」カテゴリーアーカイブ

フレーム型式のルール

今日はヤマハのフレーム型式のルールについてを。
自動二輪車を呼ぶ場合に、モデル名や年式、モデルコードは使わず、SA39J や SE44J のようにフレーム型式で呼ぶ方法がある。モデルチェンジをするとフレーム型式も変わるため、同じフレーム型式の場合は部品の互換性があることが多く、その意味では都合が良い表現である。

XC125 28S1 [Cygnus X] SE44J
XC125 28S1 SE44J

そのフレーム型式には規則性があり、フレーム型式を見るとどんな形をしているのか、どんな排気量帯なのかなどがわかる。


まずは、上記にあげた SE44J の文字がどう分けられるのか、見てみる。

フレーム型式のルール

まずは、最初の「タイプ」を表す文字。アルファベットで、スクーターやロードモデルなど、大まかなタイプを表している。アルファベットの意味は以下の通り。

A ATV
C コンペティション
D オフロード
R ロード
S スクーター
U ビジネス向け
V アメリカンスタイル

上記一覧には入れなかったが、ブラジルでは2014年ぐらいまで K を使っていたり、海外生産では別の文字を割り当てている。

2文字目は排気量帯を表していて、こちらもアルファベットが使われている。アルファベットの意味は以下の通り。

A 50cc クラス
B 100cc クラス
E 125cc クラス
G 250cc クラス
H 400cc クラス
J 600cc クラス
M 750cc クラス
N 1000cc クラス
P 1000cc 以上クラス
Y 電動

例えば、155cc の GPD150 [NMAX 155] スクーターで、125cc クラスを超えているので 250cc クラスとなり、フレーム型式の頭は SG となる。

次の2文字は、モデルコードと同じように数字が順番に振られていき、数字がなくなるとアルファベットが入ってくる。アルファベットの振り方は、99を超えるとA0~A9, B0~B9 と最初の文字がアルファベットとなる。例えば、現在発売されている AXIS Z は 125cc クラスのスクーターであるが、世界で多くの 125cc クラスのスクーターが発売されており、数字のみは使い切ってしまって D7 の割り当てとなり、SED7J となっている。

最後の文字は、数字もしくはアルファベットが入り、仕向地や仕様によって変わる。この文字は日本向けは「J」が入るのだけど、例えば YZF-R6 のレースベース仕様や、コンペティションモデルの場合は「C」が入ったりと、「J」でない場合もある。そのような例外もあるが、最後の文字の仕向地として振られているアルファベットの一覧は、以下のようになっている。

E USA
J 日本
N カナダ
Y カリフォルニア

それ以外のほとんどの国では1から順に振られて、数字がなくなるとアルファベットとなる。例えば、ヨーロッパ向け CYGNUS 125 である SE03 の場合、SE031 としてヨーロッパ向けが振られ、 MBK 版の FLAME に SE032 が振られたり、2003年の YZF-R6 の場合では、ヨーロッパ向けが RJ051 が、馬力を落としたフランス向けに RJ052 が、オーストラリア向けに RJ054 が、USA 向けに RJ06E が、カリフォルニア向けに RJ06Y が、カナダ向けに RJ06N が振られた。

上記のルールを知ると、フレーム型式を聞いただけで何となくモデルのイメージがわかる。さらに、SJ011 と聞くと初期の TMAX で海外向けだろうな、というようにモデルが特定できる場合もある。
1つ例を挙げて一覧にしてみる。数が少ないところで、RA で始まるフレーム型式を見てみる。RA なので、50cc クラスのロードモデルである。

RA01J RZ50 (1998) 日本
RA02J RZ50 (2000~2006) 日本
RA031 TZR50 (2003~2006) 欧州
RA032 MBK X-POWER (2003~2006) 欧州
RA033 TZR50 (2007~2012) 欧州
RA034 MBK X-POWER (2007~2012) 欧州
RA041 TZR50 (2012) 欧州

RA03 から RA04 に変わったのは、スペイン工場が閉鎖されて、製造がスペインから MBK へとなったためで、フレームに変更があったわけではない。

今日はざっとフレーム型式のルールについて書いた。個人的には混乱してしまうのもあって、フレーム型式あまり使っていない。モデルコードがあれば年式まで特定できてしまうので、なるべくモデルコードを使っている。

ヤマハのWMIコード

今日は VIN で使われる WMI コードについて。

YBR125 2014 1PX3
Frame Number

WMI とは何かと言うと、日本では耳慣れないが VIN の頭3文字に使われる World Manufacturer Identifier のことである。


まずは、VIN の話から。VIN は Vehicle Identification Number の略で ISO 3833 にも定義されている17桁の文字。簡単に言うと、フレームナンバー・車体番号のことで、各社バラバラだったら車両登録とか盗難情報の管理が大変なので、世界で合わせましょうというもの。

この VIN の頭3文字が WMI で、日本語だと「国際製造者識別子」になる。上の写真では少し隠れたが、
LBPKE1784E0018301
の17文字の中の LBP に当たるもので、これがわかることでどの国の誰が作ったのかわかる。

日本のヤマハでは国内向けモデルには採用していないが、海外向け車両に対して VIN が標準化された1981年から使用している。実は、VIN を見れば自動二輪車なのかとか、年式もわかったりするのだけど、その話はまた別の機会にして。

FJR1300AP 2006 5P52
Frame Number

本題の WMI 一覧を。

code country company remarks
JYA Japan Yahama Motor Co.(YMC)
LPR Taiwan Yamaha Motor Taiwan(YMT)
RKR Taiwan Yamaha Motor Taiwan(YMT)
LPB China Chongqing Jianshe Yamaha Motorcycle 重慶建設ヤマハ
LYM China Zhuzhou Jianshe Yamaha Motor 株洲建設ヤマハ
RLC Vietnam Yamaha Motor Vietnam(YMVN)
MLE Thailand Thai Yamaha Motor(TYM)
MH3 Indonesia Yamaha Indonesia Motor Manufacturing (YIMM)
ME1 India India Yamaha Motor(IYM)
VG5 France MBK Industrie (MBK)
9C6 Brazil Yamaha Motor do Brasil(YMDB) Manaus 工場

上記表は他に確認でき次第、適時追加予定。

2018年4月1日追記
LYM 製造の一部のモデルでは、LINHAI の LL8 が使われているのを確認している。

現在は無くなってしまった工場や会社の一覧を。

code country company remarks
VTL Spain Yamaha Motor Espana S.A.(YMES)
ZD0 Italia SOCIETA BELGARDA S.p.A.(BELG) YMIT
9C0 Brazil Yamaha Motor do Brasil(YMDB) Sao Paulo 工場

これ以外に GRIZZLY などの四輪車では JY4 を、US で作られた同様の四輪車では 5Y4 を使っている。

プレスト経由などで輸入車を買ったとき、車体番号を見ればどこで作られたのかわかるので便利と言えば便利。桁が増えるからなのか、日本向けには採用されていないが、そろそろ世界に合わせても良いと思う。