今日は昨年6月で事業を終了した株式会社プレストコーポレーション(以下、プレスト)についてを。
プレストが事業を終了した後、口火を切った形となって、カワサキのインポーターであるブライトも事業を終了、スズキのインポーターでありモトマップの名を使っている SPK が撤退をした。
プレストは主にヤマハの海外モデルを輸入していた会社で、形の上ではヤマハ発動機とは資本関係がない独立した会社であった。
事業終了はかなり前の段階で、取引先には伝えられていて、一昨年末の決算公告を見ても8億円近く資産があるため、破産したり事業が急に苦しくなって廃業したというわけではない。とは言え、自動二輪車を取り巻く環境から事業終了の時期と判断したのでしょう。
なぜ、このタイミングでプレストのことを書いたかと言うと、プレストの事業終了からもう9か月も経つため。未だ web ページは残っているものの、1年も経過すると消えてしまう可能性がさらに高くなる。そのプレストの web ページにはパーツカタログが掲載されており、パーツカタログが見られるだけでなく、そのパーツカタログの PDF もダウンロードできる状態である。これまでプレストが輸入してきた歴代の YZF-R1 や、TW125, XJ6, TDM850 などかなりの数の PDF である。
今はありがたく見ることができるが、いざパーツが欲しいと思ったときに、プレストのパーツカタログが消えていると、ヨーロッパのヤマハのパーツカタログを検索する必要がある。それに、PDF があると整備するときに気になるページだけ印刷することもできるし、ネットワークがない場所でも見ることができる。何かあったときに心強い存在である。プレストのパーツカタログが見られなくなる前に、気になる人はダウンロードしておこう。
プレストは、大型自動二輪車免許が指定自動車教習所で取得できるようになった1996年に事業を開始した。1990年に VMAX が国内で正式に発売されていたため、1996年には 750cc の排気量制限は撤廃されていたものの、100馬力制限がまだ存在していた。そんな状況なので国内向け VMAX は V ブーストが取り払われて馬力も落として発売されていた。
そこでプレストが海外向けモデルを輸入し、フルパワーの車体が手に入るようになる。所謂、逆輸入モデルと呼ばれるものである。また、XJ6 や YZF-R6 など、排気量的に日本で大量に売れないようなモデルも扱っていたりした。
その馬力上限の自主制限も2007年に終わり、国内向けでも100馬力を超えるモデルが発売されるようになった。それは逆輸入をするインポーターの存在価値が半分消えてしまったことを意味していた。さらに日本国内での自動二輪車の売り上げが下がる一方の中で、撤退は不可避だったのでしょう。
ということで、少し昔を懐かしんで書いてしまった。本当はもう1つ書こうかと思っていたこともあったのだけど、それはまたの機会にして。