昨年の11月、ニュージーランドのヤマハで AG125 の発売予告があった。
AG100 の後継機種で、そのときなんとなく DT125 のエンジンを積んで AG100 のエンジン製造をやめるだけだと思っていたが、ここにきて情報をもらったりして詳細がわかってきた。
AG125 は中国製で、何と YBR125 系のエンジンを搭載するようである。
確かに、発売予告のページを読み直すと、
A reliable 124cc air cooled four-stroke engine delivers plenty of smooth, controllable power.
と書いてあり、4ストロークエンジンの採用ということがわかる。
改めて Youtube にあがっている動画を見ると、YBR125 系のエンジンのようである。
詳細についての情報を1月にもらったのだけど、そのときモデルコードが B7H という話だった。そこから情報を探してみたものの詳細がわからず。
先日、改めて調べてみるとモデルコードは BF8 になるようである。今わかっているモデルコードはこんな感じになる。
code | name | year | country | remarks |
---|---|---|---|---|
BF81 | AG125 | 2017 | 南米、アフリカ | |
BF82 | AG125H | 2017 | オセアニア |
色は AG100 と同じく青と赤の2種類ある。気になるガソリンタンク容量は11リットルで、前19インチ、後18インチのタイヤを装備。キャブレタは MV28 を採用しており、そのキャブレタやエアクリーナ、メーター周りは XTZ125 のものを流用している。
話を少し変えて、ペルーでは YB125 の車体を使った農業向けモデルの YB125 Chacarera が発売されている。
YB125 Chacarera 2016 2XP2 |
YB125 Chacarera は YB125 のエンジンをそのまま流用していたため、牧場向けの1速(スーパーロー)を装備していなかったし、左右サイドスタンドもなかった。
同様にニュージーランドでは XTZ125 に装着するファームキットが発売されている。
XTZ125 FARM KIT |
新しく発売される AG125 はこの YB125 Chacarera と XTZ125 を合わせて農場・牧場モデルにしたような感じで、牧場向けの1速や左右サイドスタンドも装備している。
これまでは後付けで農場・牧場向けにした中途半端なものだったけど、専用で発売してしまおうということなのでしょう。簡単にギア比の一覧を出してみる。
model | AG125 | XTZ125 | YBR125 | YBR125 |
---|---|---|---|---|
code | BF82 | B761 | 2MP4 | 51D3 |
販売国 | オセアニア | 中国 | 中国 | 欧州 |
年式 | 2017年 | 2015年 | 2014年 | 2014年 |
プライマリ | 3.400 (68/20) |
3.400 (68/20) |
3.400 (68/20) |
3.400 (68/20) |
1速 | 3.000 (33/11) |
2.643 (37/14) |
2.643 (37/14) |
2.643 (37/14) |
2速 | 1.778 (32/18) |
1.778 (32/18) |
1.778 (32/18) |
1.778 (32/18) |
3速 | 1.316 (25/19) |
1.316 (25/19) |
1.316 (25/19) |
1.316 (25/19) |
4速 | 1.045 (23/22) |
1.045 (23/22) |
1.045 (23/22) |
1.045 (23/22) |
5速 | 0.875 (21/24) |
0.875 (21/24) |
0.875 (21/24) |
0.875 (21/24) |
セカンダリ | 3.571 (50/14) |
3.429 (48/14) |
3.214 (45/14) |
3.214 (45/14) |
AG125 の1速の減速比である 33/11 は、インド製の Gladiator で使われていた比率と同じである。
牧場向けの自動二輪車の1速ギア比は、牛の歩く速度に合わせてあるという話なのだけど、それにしてはちょっと低い気がする。
他の装備を確認したところクラッチロックとブレーキロックの採用は見送られたようである。その2つがあると坂の多い場所では非常に便利で、わざわざ別の機種にこのロック付きレバーに替える人がいるぐらいなのに。モデルチェンジがあるとすれば、ぜひ採用してもらいたいものである。
YBR125 系のエンジンはインドで生産をやめてしまい、ブラジルでも生産機種が TT-R125 のみになり、中国でもここ3年ほど新製品の発売がない状態だった。世界的にインド製の SALUTO などに搭載されている新しい 125cc エンジンにシフトして、新機種の発売はないものと思っていたため、この AG125 の発売はかなりの驚きだった。AG100 が43年間売られていたことを考えると、もうしばらく YBR125 系エンジンの製造は続きそうである。
それにしても、発売が楽しみである。
Special thanks to Joseph